学校の道徳の教材にも採用されることになった「江戸しぐさ」。江戸時代の商人の行動哲学で、他人を思いやり他人と共生するためのマナーを指す。
「江戸しぐさ」は企業が社内教育に用いたり、自治体や教育機関に高く評価されたりと、幅広い層に支持されている。
「江戸しぐさ」を初めて正面から批判した本が発売された。歴史研究家の原田実による『江戸しぐさの正体 教育をむしばむ偽りの伝統』(星海社新書)だ。
原田は「江戸しぐさ」を「実際の江戸時代の中で使えそうなものは皆無」と断言し、「現代人が現代人のためにつくったマナーとしか思えない」と否定する。
本書は、どこがどのように誤っているのかをはっきりと指摘し、なおかつ江戸しぐさが現代日本で普及した経緯や、創始者の芝三光がどういう人物であったのかも探る一冊だ。
ミステリー小説のような面白さがあるのが、第二章の「検証」だ。有名な「江戸しぐさ」の例を1つずつ挙げ、何がどうおかしいのかを暴いていく。
たとえば、「傘かしげ」。道ですれ違ったときに傘を傾けてぶつからないようにするしぐさだ。
しかし原田は、傘がぜいたく品であり、「江戸っ子たちは主に頭にかぶる笠や蓑を用いていた」と指摘。
当時の江戸の建物の構造からして、「傘かしげ」は江戸時代に行うとかえって迷惑行為になるのだとも言う。
「こぶし腰浮かせ」は、乗り物が混んでいるとき、こぶしをつけて(もしくはこぶし1つぶん)後から来る人のためにスペースを空けるというしぐさ。
電車で席を占領する人に対して悪感情を抱いている人にとっては、ぜひとも広まってほしいしぐさだろう。
けれど、江戸時代の浮世絵や名所図会を見ると、江戸時代の渡し舟には、現代の「座席」にあたるものはないことがはっきりとわかる。
原田はこうした事実を丁寧に示したうえで、「『こぶし腰浮かせ』は、それこそ現代のバスや電車のように長い座席がついた乗り物からしか生まれない発想である」とキッパリと否定する。
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アルファルファモザイク
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